以上のように考察を加えてきたが、月別の乳量と乳脂率のグラフをみる限り、5月頃から下がり始めるのは、牛が5月頃の気温から悪影響を受け始めるためと考える。逆に9月から上がり始めるのは、牛にとって9月以降の気温が快適な気温になり始めたためといえる。よって5月〜9月頃の畜舎の環境改善において、徹底した暑熱対策を実施することが必要で、夏場に分娩させられるような飼養技術の向上が重要であると考える。今後も、全国的に厳しい状況が進むと考えられ、県内においても同様であることから、パーラーだけでなくロボット搾乳の導入も視野に入れた経営規模拡大が望まれる。また、各自が経営状況を詳しく検証し把握することで、コスト削減に繋げる努力も必要であると考える。今後、自分の経営を客観的に見る目を養い、氾濫する新しい情報を取捨選択しながら、自分のものとする努力も必要となってくる。その手助けとして当会の経営診断をはじめ、新たに担い手経営支援体制整備事業の実施によって酪農のデータベースを構築し、各経営者が牛群検定や経営分析等のデータを、「いつでも、直接、生きたデータ」として経営者自身のパソコンで利用できるという体制を整備しつつあるが、経営改善の手助けとして役立てて頂きたい。
酪農経営は、経営改善や規模拡大の途中にあると考えられることから、今後、法人経営が有利となる経営規模の農家が中心となり、効率的な経営を実施していけば、更に発展していくと考える。 |